先月2021年6月に発売されたばかりの「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」
動画で寄りの画が撮りたかったことと、マイクロ(マクロ)レンズを使ったことが無かったので、3日間だけ借りてみました。
今回は使ってみて感じたことを書こうと思います。
また普段私が使っているZレンズは「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」なので(それしかない)、同じ50mmという単焦点同士「どういう使い分けをしたらいいか」なんて事を考えながら撮影してます。
1.外観
使用していないときのサイズは非常にコンパクト。マウントの基準面からレンズ先端まで「66mm」しかありません。実際にはねじ込み式のフードをつけてからフィルターを付けると、もうちょっと出っ張ります。そして私初めて全群繰り出しのレンズを使ったのですが、最短撮影距離に近づくにつれてレンズが出てくるんですね!にゅーっと。このギミック感が面白い。
ただ、個人的にはピントリングは金属であって欲しかったと思います。年季が入るとゴムが白化する現象。。。巷ではミューズで擦れば治る!とかまことしやかに言われておりますが、そもそもそうなって欲しくない。最近の材質はどうなんでしょう?グリップ力は確かにゴム>金属なんですけどね。
2.最短撮影距離・最大撮影倍率
最短撮影距離は16cmで、レンズが繰り出した状態だともうほとんどくっついて撮れるんじゃないかと思うくらい寄れます。
寄れると何が良いか?
まず物が大きく撮れます。最大撮影場率は1倍なので、これが意味するものはセンサーに対象物が原寸で映るということ。撮ってからトリミングとかの方法もありますが、表示したときに画質荒くなっちゃいますのであまりお勧めできません。
そして寄るとピント面が浅くなり、背景が大きくぼけます。f2.8のレンズですが最短撮影距離ではf5.6となり、そこまで絞ってなお、ピント極浅・背景ボケボケです。マクロの世界ではレンズも使い方が違うんですね(初めて知った。。。)
NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sは40cm・0.15倍です。特に最近は家の中での撮影が多くなりましたが、ちょっと足りないなと感じることがあります。
毛の柔らかさが伝わるでしょうか。
綿毛の一本一本が解像しています。
3.使用感
マクロの世界って面白いですね!日常では絶対に見ることができない景色、その美しさ。それを色んな解釈無しに、見る人にも伝えることができるのはこのレンズのメリットに他なりません。
あえてデメリットを挙げるとすると、f/1.8 Sと比較すると、オートフォーカスのスピードは遅いです。そしてたまに合わないことがあります。走り回っている子供は難しかったので運動会はお勧めできません。まあ用途が違うから当然だけど。。。じっくり撮る時用です。
あとピントリングがバイワイヤなのが難しいです。超めちゃくちゃゆっくりに動かすと反応しません。また普通に回していてもピタッとせず通り越したことが何度かありました。慣れの問題なのかな?マニュアルでの撮影の時はテクニックが必要です。
苔のウェッティ感
4.価格
希望小売価格が税込み94,160円で価格.comの最安が大体76,000円くらい。まだ発売されたばかりで落ち着いてないんだろうと思いますが、これだけは苦言を呈せずにはいられない。
ちょっと高くないですかね?
NIKKOR Z 50mm f/1.8 Sが希望小売価格が91,850円で価格.comの最安が大体69,000円くらい。
マクロ撮影ができるという飛びぬけた長所を持ってはいるが、私みたいな買うレンズを慎重に選びたい派は(お金持っていない)もう1.5万円くらい安くないと躊躇してしまう。もっと言うと、私の用途を考えるとMCの方が合っているけど、f1.8Sを売ってまで手に入れたいとは思わない。f1.8Sも素晴らしいレンズですから。嗚呼、両方持てたらどんなに幸せだろうか。
NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR Sのような気概のある値段設定をお願いしますNikonさん。
5.見えてきたNikonの戦略
と私が勝手に解釈しております。
Zレンズも充実してきて、ボディもそこそこに一部のプロやハイアマチュアのニーズを満たすラインナップが揃ってきた今、戦略はその他大半のライトユーザーにも向いてきていると感じます。経営状態を心配する記事を多く見ますが、最近の供給不足のアナウンスは本当に嬉しい限りで。
Zfc、NIKKOR Z 28mm f/2.8と同じく、この「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」はライトユーザーに向けた「究極の普段使い用レンズ」として使えます。軽量・コンパクト、50mm、近接OK、f2.8と十分明るいの要素は、記録としての写真にピッタリかと。スマホに取って代わられた部分を取り返した上で、もう1ランク上の次元の写真を撮れることを広めたい。そんな思惑を感じました。はじめのマップでは60mmだったのがこっそり変わった事を覚えていますが、従来と同じ展開をするのではダメだというような方針の転換があったんじゃないですかね。
もう返却しちゃったので、楽しかった思い出だけが残っています。
良いレンズだったな。。。
映りはZレンズに外れ無しの通りで、色乗りも大変よく(上の現像ではむしろ彩度を少し落とした)、ボケもなだらかな画が撮れました。
マクロ撮影の大本命は105mmの方に行くと思いますが、気軽に持ち出せるのは断然にこちらの方かな。
ネットではレビューがあまり乗っていないので、少しでもお役に立てられたら幸いです。